看護業界が慢性的な人手不足に陥っているといわれて久しいですが、それにはどういった原因があるのでしょうか。まず一つ目の原因として考えられるのは、供給を上回る看護師の需要の増加です。少子高齢化が進む中で医療を必要としている人の数は増加の一途をたどっている一方で、労働力を供給する若年層の人口は減少傾向に歯止めがかからないため、どうしても看護師は供給不足になりやすいのです。
また、二つ目の原因として、看護師の高い離職率が挙げられます。かつて厚生労働省が行った調査によると、看護師の離職率は約10パーセントとなっており、これは他の職種と比べても高い水準です。背景には、夜勤や休日勤務が必要になるという看護師ならではのハードな働き方に加えて、家族や友人などと会う時間がとりにくいという事情も存在します。せっかく看護師になっても辞めていってしまう人が後を絶たないため、結果的に人手不足になってしまうというわけです。
さらに、三つ目の原因として言えるのは、負っている責任に対して給料がそこまで良くないという点です。看護師は、患者の命を預かるという重責を担う職種なのですが、高給で知られる医師と比べると、その給料水準は低いと言わざるを得ません。仕事がしんどくても、その分たくさん給料がもらえるのであれば頑張ろうという気になりますが、必ずしもそうではないため、より多くの収入を求めて転職してしまう人が一定程度は存在するのです。